硬く不透明なプラケースと、軟らかくて透明なポリ袋が
同じ素材とは思えないなあ。
そもそも「プラスチック」って、どんな物質なの?
「プラスチック」を漢字で表すと、「可塑性物質」。成形しやすい物質という意味です。
英語「plastic」のもとの意味は「自由に形づくられる」であることから、そのような性質を持つ物質を総じて「プラスチック」と呼ぶようになりました。
プラスチックの正体
プラスチックは、主に炭素と水素からなる高分子化合物です。高分子化合物とは、簡単な構造の物質が化学反応によって規則正しく何度も繰り返し結合してできた巨大な分子(高分子)です。
プラスチックは、石油や天然ガスなどから作られます。
日本では、原油を精製してできる「ナフサ※」を原料にしています。
ナフサを加熱・分解し、エチレン、プロピレンなどの簡単な構造の物質(低分子化合物)を取り出します。
エチレンやプロピレンなどを化学的に結合(重合)させ、ポリエチレンやポリプロピレンなどの新しい性質を持つ物質を作り出します(「ポリ」とは「複数」を意味する語です)。
※ナフサ:ガソリンと灯油の中間の沸点にある粗製ガソリンで、熱分解することにより石油化学製品の原料となるもの。
できたばかりのポリエチレンなどは、粉や塊で扱いにくいため、いったん熱で溶かし、加工しやすくする添加剤などを加えて米粒状(ペレット)に形を整えます。ペレットの状態でプラスチック製品の製造工場に出荷されます。
原油がプラスチック製品になるまでの流れは、このようになっています。
ペレットを熱で溶かして薄く引っ張るとフィルムに、金属の型に流し込んで固めるとCDケースのようなしっかりした容器などになります。つまり、プラスチックは、成形方法や樹脂の種類でいろいろな形になるというわけです。ポリ袋やPETボトル、発泡スチロールは、ずいぶん異なって見えますが、いずれも「プラスチック製品」です。
プラスチックの成形法については、プラスチック循環利用協会のHPにある「プラスチック図書館」で詳しく紹介しています。
主なプラスチックの特性と用途
プラスチックは熱を加えた時の変化から、大きく2つのタイプに分けられます。
●熱可塑性プラスチック
加熱すると分子運動が激しくなり、軟らかくなるプラスチックです。冷却すると固まり、さまざまな形にすることができます。用途としては容器包装、日用品から家電、自動車まで広範囲です。
●熱硬化性プラスチック
加熱すると硬くなり、一度硬くなると再び加熱しても軟らかくならないプラスチックです。
比較的低分子の物質が加熱により軟化し、加工したあとに化学反応を起こして高分子の3次元架橋構造(立体的な網目構造)をつくります。食器類、電気機器の基板、ゴルフのシャフトやテニスのラケット、FRP※の浴槽や船などに利用されています。
※FRP:繊維強化プラスチック。UP(不飽和ポリエステル樹脂)などの熱硬化性プラスチックをガラス繊維などで補強した複合材料。金属材料より軽くて強いことが特徴。
プラスチックにはたくさんの種類があり、特性もさまざまです。詳しくはこちらをご覧ください。
次の2つのグラフは、わが国でどんなプラスチックがどれだけ作られ、それがどのような製品になっているかを表したものです。ポリエチレンとポリプロピレンで生産量の半分近くを占めています。これらは袋やラップなどの包装材、食品容器、洗剤などの容器、建築用シート、農業用フィルムなどに適した材料です。
フィルムや容器で半分以上になるんだね。
それだけ求められているってことなんだ。