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プラスチックを燃やすと有害物質が出る?

プラスチックを燃やすと、
ダイオキシンのような有害物質が発生するんですよね?

プラスチックを燃やすと、ダイオキシンのような有害物質が発生するんですよね?

現在の科学的知見からは、次のような見解が一般的です。

  • プラスチック単体の完全燃焼では、ダイオキシンのような有害物質は発生しません。
  • ダイオキシン類は、炭素・酸素・水素・塩素が熱せられる過程で発生する可能性があります。
  • 廃棄物を焼却すると有害物質を含む排ガスを生じますが、人の健康に影響する量ではありません。

プラスチックの完全燃焼

プラスチックは主に炭素と水素からなる高分子化合物です。単一のプラスチック(たとえばポリエチレン)を完全燃焼させたとき、理論上、発生するのは二酸化炭素と水、そして熱です。ダイオキシンなどの有害物質は発生しません。

ポリエチレン(PE)の完全燃焼

注1)ポリエチレンの燃焼式は、正しくはこのようになります。 C2H4 + 3O2 → 2CO2 + 2H2O
注2)塩素を含むポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンの完全燃焼では、水と二酸化炭素のほか、人体に有害な塩化水素(HCl)も発生します。

理論上と実際とは違いますからね。
そもそも、ダイオキシンって
どんな物質なんだろう?

理論上と実際とは違いますからね。 そもそも、ダイオキシンって どんな物質なんだろう?

ダイオキシンとは?

●ダイオキシン類

ポリクロロジベンゾパラジオキシン(PCDD)、ポリクロロジベンゾフラン(PCDF)、コプラナ-PCBを「ダイオキシン類」といいます。ダイオキシン類は、基本的に、炭素で構成されるベンゼン環2つが酸素で結合し、それに塩素がついた構造をしています。塩素のつく位置や数によって、多数の異性体が存在します。

ダイオキシン類例図

※異性体:分子式は同じだが構造が違うもの。ダイオキシン類には222もの異性体がある。

●ダイオキシンの毒性

長らく、ダイオキシンには発がん性や生殖毒があると言われてきました。今日では、細胞内にある「Ahレセプター(特定のホルモンと反応する受容体)」を介して内分泌攪乱作用を生じ、体にさまざまな影響が出るとされています。しかし、ダイオキシン類は異性体によって毒性に大きな違いがあります。 また、なぜ人体にこのような毒性が発現するのか、そのメカニズムについてはまだ解明されておらず、 現在も研究が続けられています。

●ダイオキシンはどのように発生するか

ダイオキシン類は、炭素・酸素・水素・塩素が熱せられる過程において副生成物として発生します。 発生源としては、ごみ焼却、製鋼用電気炉、たばこの煙、自動車の排気ガスなどがあります。また自然界でも、森林火災や火山活動によって発生するといわれています。

●体内に取り込まれるダイオキシンの量

わが国では、ダイオキシン類の耐容一日摂取量※1をWHO専門家会合の基準に合わせて、1日に体重1kg あたり4ピコグラム(4pg-TEQ※2/kg/日)としています。私たちが体内に取り込むダイオキシン量の安全性の評価は、この数値との比較で行われています。
環境省の調べによると、ダイオキシン類の摂取源は主に食料で、その他を含めると実際の摂取量は平均約0.45pg-TEQ/ kg/日(2021年度)と推定され、健康に影響を与える量ではないことがわかっています。

※1 耐容一日摂取量:人が生涯にわたり摂取しても健康に影響を及ぼすおそれがないとされる体重1kg あたりの1日の摂取量。
※2 TEQ:ダイオキシン類の毒性の強さを表す値。毒性等量。多種のダイオキシン類の毒性をまとめて評価するために、最も毒性が強いものを1として他の毒性の強さを換算し、総和したもの。

ごみ焼却と汚染物質

2000年1月に施行された「ダイオキシン類対策特別措置法」では、新設・既存を合わせた廃棄物焼却施設について規制がされ、排出ガスおよび排水について基準が定められています。また、2001年には廃棄物処理法が改正され、焼却炉の構造と焼却方法についても定められました。
2021年の廃棄物焼却施設からのダイオキシン推定総重量は32g-TEQで、97年のおよそ200分の1まで低減されています。

廃棄物処理施設からのダイオキシン類排出量の推移の図

ダイオキシンの排出量は
ずいぶん減っているんですね。

ダイオキシンの排出量はずいぶん減っているんですね。

有害物質は量が問題

人の健康への危険度(リスク)は、有害物質の毒性の強さと、摂取量で決まります。猛毒の青酸や一酸化炭素も空気中にごく微量存在しており、呼吸によって体内に入ってきます。しかし量が少ないため、 体に影響しないのです。

ダイオキシンは、たしかに毒性の強い物質です。しかし、ダイオキシン類対策特別措置法による焼却条件のもとに行われている廃棄物焼却では、健康被害が出るような量のダイオキシンは発生しません。

また、ばい煙についても「大気汚染防止法」によって排出基準が定められています。廃棄物処理施設には、電気集じん機、バグフィルターなどの物理的な集じん装置と、アンモニア、苛性ソーダ、消石灰などによる化学的な排出防止装置を備えています。

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