公開日:2022.12.07
更新日:2024.09.25
廃プラスチックのリサイクルをわかりやすく解説!
ペットボトルやボールペンなど、私たちの身の回りにたくさんあるプラスチック製品。プラスチック製品が、その使命を終えて廃棄されると「廃プラスチック」と呼ばれます。
廃プラスチックは、その多くがリサイクルされ、再生品や燃料などに有効利用されています。
廃プラスチックにはどんな種類があり、どのようにリサイクルされるのか、わかりやすく説明します。
廃プラスチックとは?
廃プラスチックとは、使い終わって廃棄されるプラスチック製品のことをいいます。
廃棄物は、一般家庭や飲食店、事務所などから出る「一般廃棄物」と、工場などでの事業活動から出される指定廃棄物の「産業廃棄物」の2種類に分けられます。
廃プラスチックも同様に、一般廃棄物の廃プラスチックは「一般廃プラスチック」と呼ばれ、産業廃棄物の廃プラスチックは「産業廃プラスチック」と呼ばれています。
一般廃プラスチック
一般家庭をはじめ、飲食店や事務所などから出る、プラスチックの廃棄物。
一般家庭では、廃プラスチックは各自治体のルールにそって分別を行い、自治体が回収します。
分別のルールは自治体によって異なります。
例えば、「資源」「可燃ごみ」「不燃ごみ」に分別される自治体もあれば、ペットボトル以外のプラスチック製品を不燃ごみとして分別する自治体もあります。
一般廃プラスチックの例
- 使用済みのペットボトル
- 食品用トレイ
- ボールペン
- 保存容器 など
一般的に、資源に分別されるのは「プラ」マークのついたプラスチック製容器包装、白色トレイ、レジ袋、「PET」マークのついたペットボトルなどです。
それ以外の廃プラスチックは、可燃ごみに分別されることが多いようです。
そして、資源はリサイクル、可燃ごみは焼却、不燃ごみは、一般的に焼却などで容量を少なくしてから埋めたて処分されます。
産業廃プラスチック
工場などでの事業活動から出される、プラスチックの指定廃棄物。
産業廃プラスチックは、一度にたくさんの廃棄物が出ます。産業廃棄物処理業者に持ち込みをして、買取してもらいます。
そして業者に、リサイクルなど適切な処分をしてもらいます。
産業廃プラスチック
- 合成樹脂くず
- 合成繊維くず
- 合成ゴムくず
- 廃タイヤ など
廃プラスチックのリサイクル
資源として集められた廃プラスチックには、「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」そして「サーマルリサイクル」と、3種類の方法でリサイクルされます。
それぞれのリサイクルは、長年の技術開発によって、多くの手法が開発され、実用化されてきました。
廃プラスチックのリサイクル(1)マテリアルリサイクル
廃プラスチックを原料にして、もう一度、プラスチック製品に再生するリサイクル法です。「材料リサイクル」ともいいます。
おもにパレットや土木建築資材、工業用品、作業着やベンチ、建築資材、シート、ボトル、文具など、さまざまなものに生まれ変わります。
廃プラスチックのリサイクル(2)ケミカルリサイクル
廃プラスチックを化学的に分解したりして、化学原料に再生するリサイクル法です。
例えば、ガス化されてできた化学工業原料から、繊維製品や肥料が作られます。
また、鉄を作るときの還元剤や、化学製品の原料、ガス、油などにも生まれ変わります。
廃プラスチックのリサイクル(3)サーマルリサイクル
廃プラスチックを固形燃料にしたり、焼却したりして、熱エネルギーとしてリサイクルする方法です。
廃プラスチックと古紙類を原料に「RPF」という固形燃料を作ったり、廃プラスチックを含む ごみを焼却したときの熱で発電したり、温水プールや暖房などに利用されます。
プラスチックは石油が原料だけあって、発熱量(燃やした時に出る熱の量)は紙ごみの約2.5倍もあります。
廃プラスチックの排出量と有効利用率
2022年の国内の廃プラスチック排出量は、823万トンでした。
このうち、一般廃系プラスチックが424万トン、産業廃系プラスチックは399万トンでした。
廃プラスチックの排出量は、ここ10年間はわずかに減っています。
また、廃プラスチックの有効利用量(リサイクルと熱エネルギーとして利用された廃プラスチックの合計)はわずかに増えている傾向にあります。
このうち、廃プラスチックの有効利用率(リサイクルと熱エネルギーとして利用された廃プラスチックの合計)は、2022年で87%となっています。
ポイ捨てをせず、正しい分別ルールで廃プラスチックを出そう
廃プラスチックのリサイクルは、リサイクル専門の会社さんが行うことなので、私たち自身が直接リサイクルすることはできません。しかし、リサイクルのお手伝いはできます。
ごみは、絶対にポイ捨てや不法投棄をしないようにしましょう。正しく処理すれば資源になる廃プラスチックも、ポイ捨てをすれば資源にならないだけでなく、環境汚染につながります。
また、廃プラスチックは、正しく分別してごみ出しをする必要があります。
なぜなら、回収された廃プラスチックにプラスチック以外のものがまじっていると、プラスチックとしてリサイクルできなくなるかもしれないからです。
廃プラスチックは、住んでいる町の分別ルールを守って、正しくごみ出しをしましょう。リサイクルされたプラスチックは、さまざまな形で、また私たちの役に立ってくれます。
小学生のみなさんも、正しいごみの分別を心がけましょう。
まとめ
今回は、廃プラスチックの種類やリサイクルの方法を学びました。
日本の廃プラスチックの有効利用率は2016年から毎年80%を超え、2020年は86%と、高い水準を維持しています。
その数字を支えているのは、日本の高いリサイクル技術と、ルールに沿った正しい分別・排出・回収です。
これからもプラスチックを便利に使い、地球環境を守っていきましょう。
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