公開日:2022.12.07
更新日:2023.01.13
マイクロプラスチックってなに?どうして環境に悪いの?わかりやすく解説します!
ごみ問題の中で、最近よく耳にするのが、マイクロプラスチックという物質です。
マイクロプラスチックは、環境問題の解決を目指すとき、避けて通れない問題です。特に、海の環境汚染に深刻な影響をおよぼすといわれています。
ここでは、マイクロプラスチックとは何か、どうして環境に悪いのか、そしてどのような対策を取ればいいのか。小学生のみなさんにもわかりやすいように説明します。
マイクロプラスチックとは何か?
マイクロプラスチックとは、どんなものなのでしょうか。
マイクロプラスチックは、その名前のとおり、小さな粒状になったプラスチックのことをいいます。
大きさが5ミリ以下のものをマイクロプラスチックとよんでいます。
マイクロプラスチックの種類
マイクロプラスチックには、「一次的マイクロプラスチック」と「二次的マイクロプラスチック」の2つの種類があります。その違いを、簡単に説明しましょう。
一次的マイクロプラスチック
製造された時点で、最初から小さく作られたプラスチックのことです。
代表的な一次的マイクロプラスチックは、かつて歯みがき粉や洗顔料、化粧品、柔軟剤などに入っていたマイクロビーズです。
こういったマイクロビーズやマイクロカプセルは、その大きさが数ミクロン(0.001ミリ)から数百ミクロン(0.1ミリ)しかなく、目で見てもわからないほどの小ささです(※1)。排水溝から川や海に流れていきます。
マイクロビーズは環境への影響から、世界各国で規制が進んでいます。
日本では、2016年に日本化粧品工業連合会が、会員企業1,100社に、プラスチック製マイクロビーズの使用をやめるよう呼びかけました(※2)。そのため現在では使われていません。
(※1)出典:環境省 洗顔料や歯磨きに含まれるマイクロプラスチック問題(大妻女子大学 兼廣春之)
(※2)出典:環境省 プラスチックを取り巻く国内外の状況<参考資料集>
二次的マイクロプラスチック
不法投棄やポイ捨てされたプラスチック製品が、紫外線や風雨以外に河川で流れるときや海の波の力など、さまざまな自然環境によって劣化し、ボロボロに細かく砕かれてできたマイクロプラスチックです。
マイクロプラスチックはどうして問題なの?
マイクロプラスチックには、環境汚染の面でさまざまな問題があることが知られています。
マイクロプラスチックの問題(1)回収が困難
大きさが5mm以下のマイクロプラスチックは、非常に細かいため、自然界から回収することはほとんど困難です。
また、プラスチックは自然界の中で分解されないので、自然界の中でそのまま残ります。減らないどころか、増えていくのです。
マイクロプラスチックは海にたまる
マイクロプラスチックの問題が特に深刻なのが、海の環境汚染です。
プラスチックが山に捨てられていたとしても、いずれマイクロプラスチックになります。それが雨に流されて川に入り、水の流れとともに、最後には海に流れ込んでしまいます。
いま、世界の海には、合計で1億5,000万トンのプラスチックごみが蓄積されているといわれています。
またそこに、少なくとも毎年800万トンのプラスチックごみが、新たに流入しているともいわれています。
プラスチックごみがこのまま増え続けると、2050年までに、海の中にたまったプラスチックごみの重さが、魚の重さを超えるとさえ言われているのです(※1)。
マイクロプラスチックの問題(2)生態系への影響
マイクロプラスチックは、生態系にも悪い影響を与えます。
生き物がエサと間違えて食べると、消化されないマイクロプラスチックが内臓()を傷つけたり、内臓の管を詰まらせたりして、死んでしまう場合かがあります。
特に、海の中では、魚介類がマイクロプラスチックを海水と一緒に飲み込んでしまうおそれがあり、海洋生態系にとって深刻な問題となっています。
マイクロプラスチックの問題(3)私たちの健康への悪影響
マイクロプラスチックは、その小ささから、私たちの体の中にも入り込みます。
マイクロプラスチックは化学物質なので、体内に取り込まれると、炎症やアレルギー反応をおこす可能性があります。
オランダの大学で行われた研究で、22人の血液を調べたところ、17人の血液からマイクロプラスチックが検出されています。
検出されたマイクロプラスチックは、ペットボトルの材料のポリエチレンテレフタレート(PET)や、使い捨ての食品容器などに使われているポリスチレンです。
体内に入ったルートは、水や食べ物を通じて口から入ったり、空気を吸いこんだりするなど、さまざまな可能性が考えられています。(※1)。
マイクロプラスチックの問題(4)産業への影響
マイクロプラスチックがこのまま増加し続け、海洋汚染が進むと、海の生き物の数が減り、漁業が衰退する原因になるかもしれません。
また、美しい海が失われることで、観光などにも悪い影響がおよぶでしょう。このように、漁業や観光業といった海に関連する産業が、打撃をうける可能性があります。
マイクロプラスチック問題への対策
マイクロプラスチック問題への対策として、私たちにもできることには、何があるでしょうか。
ここでは、2点を紹介します。小学生のみなさんでもできる、手軽な取り組みです。
マイクロプラスチック対策(1)正しいルールのごみ収集
一般家庭のごみ出しは、自治体ごとに分別などのルールが決められています。
そのルールを守らないと、正しくごみをリサイクルできません。ルールにのっとった正しいごみの分別とごみ出しが、マイクロプラスチックの削減につながります。
マイクロプラスチック対策(2)ごみは持ち帰る
自然の中でのキャンプやバーベキューなどは、実に気持ちいいものですが、そのあと片づけがとても大切。つりやキャンプ道具には、プラスチック製品がたくさんあります。
それをポイ捨てしたりすると、そのごみはマイクロプラスチックの原因になります。ごみは必ず持ち帰りましょう。
まとめ
マイクロプラスチックは、たいへん小さな物質です。そのため、環境問題の中でも今まであまり意識することは少ない存在でした。
しかし、一度広がってしまったマイクロプラスチックは、回収がほとんど不可能です。
このままでは環境や生態系に悪い影響を与える可能性があり、今や無視できない存在になっています。
一人ひとりがマイクロプラスチックについての意識をもち、その問題解決のために、できることからアクションを起こしましょう。
そのためにも、ごみは、絶対にポイ捨てや不法投棄をしないようにしましょう。
正しく処理すれば資源になるプラスチックごみも、ポイ捨てをすれば資源にならないだけでなく、マイクロプラスチックになって環境を汚してしまいます。
そして、使ったあとのプラスチック資源ごみは、住んでいる町の分別ルールを守って、正しくごみ出しをしましょう。
リサイクル専門の会社さんによってリサイクルされたプラスチックは、さまざまな形で、また私たちの役に立ってくれます。
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