公開日:2023.02.28
更新日:2023.02.28
プラスチック資源循環促進法(プラ新法)ってなに?やさしく解説!
2022年4月1日から、プラスチック資源循環促進法(プラ新法)という法律がスタートしました。
この法律は、プラスチック製品に関わる事業者や自治体はもちろん、プラスチックを使っている消費者の私たちも一緒に、「3R+Renewable」に取り組み、プラスチックの資源循環を目指すことを目的にしています。
プラ新法とは、どのような法律なのか。また、どのような内容なのか、私たちの暮らしはどう変わるのか。プラ新法について、わかりやすく説明します。
プラスチック資源循環促進法(プラ新法)とは?
プラスチック資源循環促進法(プラ新法)は、2022年4月1日からスタートした、新しい法律です。
正式には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」といいます。ここでは、この法律のことを「プラ新法」とよぶことにします。
この法律は、「プラスチックの3R+Renewableの取り組み」への協力をお願いする、プラスチックの資源循環を目的とした法律です。
プラスチック製品に関わる事業者や自治体はもちろん、プラスチックを使っている消費者の私たちも一緒に、3R+Renewableに取り組んでいくことを目的にしています。
とはいえ、それだけの説明では、何をいっているのかわからない人もいそうですね。
「3Rってなに?」「Renewableってなに?」「プラスチックの資源循環って、どういうこと?」と、ちんぷんかんぷんかもしれません。
まずは、プラ新法のことをわかりやすく理解するために、それぞれの言葉を説明することからスタートしましょう。
用語説明(1)「プラスチックの3R」
プラスチックの3Rとは、リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の「3つのR」のことです。
この3Rは、自然環境を守り、エコな生活をするうえでのキホンといわれています。
(1)Reduce(リデュース)
プラスチックごみをなるべく出さないようにすることです。
例えば買いもののとき、マイバッグを使うことで、レジ袋のごみを減らすことができます。
同じように、飲みものを持ち歩くときは、ペットボトルではなく、マイボトルや水筒を持つようにすれば、ペットボトルの量を減らすことができます。
(2)Reuse(リユース)
くり返し使えるプラスチック製品は、なるべく長く使うことで、プラスチックごみの減少につながります。
使わなくなったプラスチック製品も、捨てずに人にあげたりすれば、ごみになりません。
(3)Recycle(リサイクル)
使い終わったプラスチック製品を、ごみではなく、資源として再利用することです。
資源として回収されたプラスチックは、プラスチックの再生品の原料になったり、燃料として使われたりしてリサイクルされます。
日本では、プラスチックのリサイクルが、年々進んでいます。2020年の有効利用率(リサイクルと熱エネルギーとして利用された廃プラスチックの合計)は、86%にのぼります。
用語説明(2)「Renewable(リニューアブル)」
Renewable(リニューアブル)とは、「再生が可能な資源」を意味しています。
プラスチック製品は、リサイクルできるものもありますが、使い終わったら再生利用することができないものも少なくありません。
また、ほとんどのプラスチックはもともと石油から作られているので、限りある資源を使っていることには変わりありません。
今までプラスチック製だったスプーンやストローを、今後は紙や木材、バイオマスプラスチックなどの再生可能な素材に変えていくことで、限りある資源を有効に使い、資源のムダづかいを減らすことができます。
用語説明(3)プラスチックの資源循環
さきほど説明した「プラスチックの3R」と「Renewable」を、みんなで生活の中で実践すれば、むだなプラスチックの生産が減り、意識の高まりによって、プラスチックのリサイクルもいっそう進みます。
使い終わったプラスチックは、ごみではなく、リサイクルによって資源として循環されていきます。
プラ新法が目指すもの
プラスチック資源循環促進法(プラ新法)によって、プラスチックの3Rと再生可能資源の利用が進めば、
・プラスチックの大量生産
・プラスチックの大量消費
・プラスチックの大量廃棄
という、3つの問題を減らしていくことができます。
それによって、3つの目標の達成を目指すことができます。
プラ新法の目標(1)地球温暖化の防止
いま問題になっている地球温暖化は、二酸化炭素などの「温暖化ガス」が大気に増えていることが大きな原因です。
プラスチック製品は、石油から原料を取り出して化学反応をおこない、製品にするまでに、エネルギーが使われます。そのとき、二酸化炭素が排出されます。
また、使い終わったプラスチックを燃やすときも、二酸化炭素が排出されます。
製造するときなどにエネルギーを使ったり、使い終わって燃やすときに二酸化炭素を排出したりする素材は、プラスチックに限ったことではありません。ほとんどの素材も、同じです。
だからといって、この問題に目をつぶれば、地球温暖化は進行するばかりです。プラスチックはプラスチックで、この問題を改善するための努力をする必要があります。
プラ新法による「プラスチックの3R+再生可能資源」が進めば、プラスチック製品が出す二酸化炭素の量を減らすことができ、地球温暖化の防止につながります。
プラ新法の目標(2)海の環境を守る
海の環境を汚すものとして、いま大きな問題となっているのが、海洋プラスチックごみの存在です。
使われなくなったプラスチック製品の一部は、海に流れこんで海洋プラスチックごみになります。
そのルートはさまざまです。海岸や船の上から、直接、海に不法投棄されるものもあれば、排水溝や川などを伝って、海に流れこんでくるものもあります。
プラスチックは、自然に分解されることはありません。そのため、何も対策をしないと、プラスチックごみは海にどんどんたまっていくばかりです。
いま、世界の海には、合計で1億5,000万トンのプラスチックごみが蓄積されているといわれているといわれています。
またそこに、少なくとも毎年800万トンのプラスチックごみが、新たに海に流れ出しているといわれています。
このうち、日本から海に流れ出しているプラスチックごみは、年間2〜6万トンにのぼるといわれています(※1)
このまま海洋プラスチックごみの流入が続けば、2050年には、海の魚の量よりも、海洋プラスチックごみの方が多くなるといわれています(※2)。
プラ新法の目標(3)資源問題の改善
プラスチックは、限りある資源である石油の成分の1つを主な原料にして作られています。
石油全体の消費量のうち、プラスチックに使われるのは3%もありません(※1)。
数字としては少ないといえますが、それでも何も考えずに使い続ければ、そのうち石油が足りなくなってしてしまいます。
プラスチックの3R+Renewabeが進めば、プラスチック製品の生産量が必要な分だけになります。石油の消費量を少なくすることができ、資源問題が改善されます。
プラ新法で、私たちの暮らしはどう変わる?
プラ新法のスタートによって、私たちの暮らしはどう変わるのでしょうか。ここでは、具体的な例をまじえて紹介します。
プラスチック使用製品設計指針
プラ新法では、プラスチック使用製品製造事業者(プラスチックを使って製品を作っている会社など)に対して、設計から製品づくり、そして使い終わって廃棄することまで考え、プラスチック製品を作ることを求める「プラスチック使用製品設計指針」が定められています。
この設計指針によって、今まで使ってきたプラスチック製品も、より環境に配慮したものに変わっていくでしょう。
設計指針の中から、いくつかの内容を紹介しましょう。
・減量化
プラスチック製品に使われる材料の消費量を減らします。
・包装の簡素化
フィルム包装などをシンプルにして、材料の消費量を減らします。
・長期使用化・長寿命化
プラスチック製品の寿命を長くしたり、部品交換できるようにして、材料の消費量を減らします。
・材料の変更
プラスチック製品の材料を、プラスチック以外の素材や再生利用しやすい材料、再生プラスチック、植物から作られるバイオプラスチックなどに変更します。
「プラスチックは、えらんで・減らして・リサイクル」が合い言葉
私たちの日ごろの暮らしも、プラ新法によって、少しずつ変えていきましょう。
そのキーワードは「プラスチックは、えらんで・減らして・リサイクル」です。
(1)えらんで
環境に配慮した、エコなプラスチック製品をえらびましょう。
・簡易包装の商品
・部品の再利用された商品
・同じ素材を使ってリサイクルしやすい商品
(2)減らして
プラスチックをむだに使い過ぎないように心がけ、また、なるべく長く使い続けることで、使い捨てプラスチックのごみを減らしましょう。
たとえば、プラスチック製のレジ袋のかわりにエコバッグを持ち歩いたり、マイボトルやマイスプーンなどを使ったりして、プラスチック製品の使い捨てを減らしましょう。
コンビニなどで食べ物を買うと、プラスチック製のスプーンやフォーク、ストローなどを無償(ただ)でつけてくれます。
こういったプラスチック製品を「特定プラスチック使用製品」といいます。必要なときだけ受け取るように心がければ、使い捨てのプラスチックごみを減らすことができます。
(3)リサイクル
プラスチック使用製品廃棄物の分別・回収・リサイクルに協力しましょう。
プラ新法で呼びかけられている取り組みが進むと、自治体ごとに、プラスチック使用製品廃棄物の資源回収もさらに進んでいきます。
今後は、店頭での資源回収も活発になり、リサイクルもさらに実践しやすくなります。
まとめ
今回は、プラスチック資源循環促進法(プラ新法)について学びました。
プラスチックの3RやRenewableを進めて資源循環を進める取り組みは、今後ますます進んでいくでしょう。プラスチック製品を買うときは、なるべく環境に配慮したものを選びましょう。
また、マイバッグやマイボトルなどを持ち歩いたりするなど、できることはたくさんあります。私たち一人ひとりも毎日、エコを意識し、積極的に実践していきましょう。
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