公開日:2023.03.24
更新日:2024.10.09
ごみを減らすための「5R」って何?まずは「3R」から始めよう!
社会が発展して人間の暮らしが豊かになったことで、あふれるほどのものに囲まれて生活することが当たり前になりました。
ものがたくさんあるということは、ごみも増えるということです。日本中、世界中で出るごみは、今や地球環境を圧迫するほどの量になってしまいました。
このごみ問題を解決させるために打ち出されたのが、「5R」の取り組みです。
難しい内容ではありません。どんな取り組みなのか理解して、私たちにできることを一緒に考えてみましょう。
5Rは、ごみを減らすための5つの行動
5Rとは、ごみを減らすために私たちができる5つの行動を示aす言葉です。
5つのRとは、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)、Refuse(リフューズ)、Repair(リペア)、の頭文字。
「プラスチックのはてな」でも、リサイクルについて分かりやすく説明をしていますね。
5Rは、リサイクルをすること以外にも私たちにできるごみ対策を教えてくれます。
それぞれのRが、どんな行動を示しているのか見ていきましょう。
5つのRの意味
Reduce (リデュース):ごみを発生させない工夫をすること
Reuse (リユース):ものを捨てずに、繰り返し使うこと
Recycle (リサイクル):ごみを資源として再生して利用すること
Refuse(リフューズ):いらないもの、すぐにごみになるようなものを断ること
Repair (リペア):壊れたものを修理して使い続けること
5Rの基本となる「3R」から始めよう
5Rの基本となったのは、3つのRです。ごみ問題を解決していくため、2000年に「循環型社会形成推進基本法」という法律が定められました。
「3R政策」として整えられた法律では、5つのRに順番がつけられて、上から3つを優先するようにと説明されています。
優先順位の高い3つのRは、皆さんも今日からすぐに取り組めるものばかりです。どんな行動をすれば良いのかを知って、できそうなことから始めてみましょう。
1. Reduce (リデュース)
リデュースは、無駄なごみを減らすための行動です。
一人ひとりが出すごみは少なく感じられるかもしれませんが、1クラス分、1学年分、学校全員分で考えてみたらどうでしょう?
毎日、とてもたくさんのごみが出ていることが分かりますね。
大量のごみを焼却するには、多くの焼却施設が必要になります。
燃やすときに発生する二酸化炭素は、地球の温暖化を進める原因にもなっています。
燃やせないごみを埋め立てる土地も、どんどん減っています。環境省の発表によれば、2041年には、ごみを埋め立てる土地がなくなってしまう可能性があるとされています。
リデュースは、使い捨て容器のものを使わないで詰め替え用のものを買う、パックの商品ではなく量り売りのものを買う、捨てるような食べ残し方をしない、といった行動で、発生するごみの量を減らす方法。
生ごみを捨てるときに、水分をよく切って量や重さを減らすのも、リデュースにつながります。
2. Reuse (リユース)
リユースは、ものを繰り返し使うことで、ごみを減らす方法です。
少し壊れたから、気に入らないからといって使えるものを捨てたりせずに、最後まで使い切る工夫を考えましょう。
リサイクルショップやフリーマーケットを利用するのも、大切なリユースの行動です。
食べ終わったジャムなどのガラス瓶を、花瓶や小物入れのかわりに使ったりするのもリユースです。
身の回りにある使い終わったものや使っていないものが、どうすれば再利用できるのか考えてみましょう。
3. Recycle (リサイクル)
リサイクルは、使い終わったものを、資源として再利用することです。
一番身近な行動は、ごみの分別です。分別されたごみは、ごみの特性に合わせた手法で再利用されます。
プラスチックが、「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3つの手法でリサイクルされていることは、「プラスチックのはてな」の中でもくわしく説明していますね。
熱で溶けたり燃えたりするプラスチックの場合は、もう一度原料として使ったり、燃やして燃料として使ったりするなど、プラスチックの特性を生かす方法でリサイクルされています。
他にも、缶やびん、家電製品やパソコン、携帯電話など、リサイクルを推奨されているものがたくさんあり、それぞれの特性に適したリサイクルの方法があります。
皆さんが自分でできるのは、ごみをきちんと分別することや、読み終わった雑誌や新聞を、古紙回収に出すこと、リサイクルされた再生商品を購入することなどです。
私たちが使っている製品には、ペットボトルマークやプラスチックマーク、段ボールマーク、紙マークなど、分別のためのマークがついているものがたくさんあります。
ごみをごみ箱に捨てるときは、マークを確かめて正しく分別し、まだ使えるものは工夫して長く使うように心がけましょう。
3Rができたら、4Rへ進んでみよう
3つのRは、皆さんも実行しやすい内容でしたね。
リデュース、リユース、リサイクルができたら、4つ目のRに進んでみましょう。
もちろん、4つ目のRから取り組んでも大丈夫。優先順位があると最初にお話ししましたが、本当は、自分にできることから始めて良いのです。
次のRも、すぐにできることですよ。
4つ目のR、Refuse(リフューズ)
Refuse(リフューズ)は、ごみを増やさないために、いらないものや、ごみになるものを断る行動です。
買い物をするときにレジ袋を断ってマイバッグを使ったり、安いからと言って必要でないものを買ったりしないことで実行できます。
買い物をする前に計画を立てたり、予算を決めたりして、買い過ぎないようにしましょう。
割りばしやお手拭きも、いらないと思ったら断りましょう。マイはしを持ち歩いて、割りばしを使わない行動もすてきですね。
私たちは、使い捨て型の暮らしに慣れています。そのせいで、「本当に必要かどうか」を考えないまま受け取っているものがたくさんあるはず。
受け取る前に、「これは本当に必要なものかな?」と考えてみましょう。
4Rまで進めたら、5Rへ
4つのRを実行できたら、いよいよ最後のRです。
ここまでのRができた人なら大丈夫!自信を持って最後のRに取り組みましょう。
最後は、自分一人ではちょっと難しいこともあるかもしれません。先生や家族、最後のRをお仕事にしているお店の人などに協力してもらって、できることから始めてみてください。
最後のRは、Repair(リペア)
Repair (リペア)は、壊れたものを修理しながら長く使うことです。
街で見かけるリペアには、靴の修理屋さんがあります。壊れたり傷ついたりした部分を修理して、靴の寿命を伸ばすお仕事ですね。
とても簡単なリペアは、壊れたおもちゃや、破れたノートをテープやのりで修繕して使うこと。
服に空いた小さな穴を、ワッペンを貼ったり縫ったりしてふさいで着るのも、大切なリペアの行動です。
「壊れたから使えない」と思う前に、修繕できるものかどうか、少し工夫したらまだ使えるものかどうかを考えましょう。
5Rは、環境を守るための活動
たくさんのRがありましたね。どうして5Rを実行しなければならないのか、きっと皆さんは理解できたことと思います。
私たちの生活は、毎日たくさんのごみを生み出しています。
日本の家庭から出るごみは、1年間で約4,043万トンもの量(1日1人あたり880g)になると言われています。(2022年度)(※1)
ごみを処理する時に焼却を行うと、温室効果ガスが排出されます。温室効果ガスのほとんどは二酸化炭素で、2022年度では2,960万トンの温室効果ガスが排出されました。(※2)
ごみは世界中で出ていますから、実際にはもっと多くの量の温室効果ガスが排出されています。
日本のごみから排出される温室効果ガスは、日本全体の約3%と言われていますが、世界全体では2021年に約332億トンのガスが毎年排出されていると発表されました。(※3)。
温室効果ガスを排出するのはごみだけではありません。暮らしに欠かせない電化製品を作るために使う大量の電気によって排出される二酸化炭素や、自動車から排出される排気ガスなど、たくさんの原因があります。
二酸化炭素を吸収して酸素を発生する働きを持つ森林が、人の暮らしのためにあちこちで伐採されていることも関係しています。
このままでは、地球全体の温度が上昇することで起きる「温暖化問題」を止めることができません。
地球の平均温度が上昇すると、自然環境を含む生態系が崩れたり、異常気象が起きて私たちが食べる農作物が育ちにくくなったりするなど、さまざまな影響が起こると予測されています。
生態系とは、地球上の生き物全てと、それらが生きる自然環境のこと。
気候の変化や人間活動で自然環境が変わって、ある生き物の数が大きく増えたり減ったりすると、生態系が乱れ、ほかの生き物にも影響が出ます。
もしも地球の温度が1度上がると、最高気温が35℃を超える猛暑日が、今の1.8倍に増えると言われています。
気温が上がり続けると、北極の氷が溶けて海の水位が高くなり、海面に近い土地が水没する危険があります。
冷たい海や寒冷地でなければ生きられない生き物が絶滅する可能性もあります。
植物や、私たちが食べる農作物の成長にも影響が出ることも十分に考えられます。
そこで、一人ひとりがごみを減らす行動を心がけて、地球環境を守ろう、環境へ負荷をかけない循環型社会をめざそう、と日本全体で5Rに取り組んでいるのです。
※1:環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況等
※2:環境省 2022年度の温室効果ガス排出・吸収量
※3:EDMC エネルギー・経済統計要覧2024年版
買うとき、もらうとき、捨てるときによく考えよう
ごみ問題に取り組むためには、「買う」「受け取る」「捨てる」の、一つひとつの行動に対して、ちょっと立ち止まって考えてみることが必要です。
ごみを増やさないために、自分にできることはなんだろう?と考えて、無駄なものを買ったりもらったりしないことから始めていきましょう。
自分にはいらないと思うものでも、誰かが必要としているものはたくさんあります。
逆に、誰かが使い終わったもので、自分にとっては必要なものがあるかもしれません。
交換したり、あげたり、もらったりを上手に実行して、ものをごみにせず、大切に使う習慣をつけましょう。
まとめ
ごみ問題の解決を目指すための5Rは、私たちの生活を守るための行動でもあります。
5Rはそれぞれがつながっていて、ひとつを実行することで、全体の改善への働きかけができます。
リフューズでいらないものを断ることや、ものを捨てずに繰り返し使うことは、リデュースの「ごみを発生させない」ことにつながりますし、リデュースの行動が身につけば、「本当に必要なものは何かな?」と、リフューズについて考える力がつきます。
リペアやリサイクルを皆さんで実行すれば、捨てられるごみの量を減らすことにもつながるでしょう。
使い捨て型の生活に慣れてしまうと、壊れたものを修繕したり、ごみを細かく分別したりするのは少し面倒に感じることもあるかもしれません。
しかし、一人ひとりが小さなことを意識してごみ問題の解決へ向かえば、地球環境や生き物たちを守るということと、天然資源を大切にすること、結果的に私たちの生活を守るということにつながります。
皆さんが大人になったときに安心して暮らせる環境であるように、最初は3Rから取り組んで、慣れたら5Rを実行し、自分にできることを増やして行きましょう。
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