公開日:2024.07.05
更新日:2024.07.05
医療現場で活躍するプラスチック Part1
注射器の筒はどうしてプラスチックなの
昔は使った注射器を消毒して、また使っていました
使い捨て注射器で新型コロナ予防
新型コロナウイルス感染症は世界的に大流行しました。日本では2023年に入って感染症としての分類が変わり、またマスクの着用も自由になり、新型コロナウイルス感染症拡大前のような日常生活が戻ってきました。大きく貢献したのが、ワクチンです。特にワクチン接種の現場では使いやすいプラスチック製の使い捨て注射器が大活躍しました。
使い捨て注射器に使われたのはポリプロピレン
新型コロナワクチンの注射器に使われたプラスチックはポリプロピレンです。プラスチックにはたくさんの種類があります。ポリプロピレンはその1つで、水に浮くほど軽く、薬品に強く、衝撃にも強いなどの特徴があります。プラスチックは金属などに比べて曲げたり、延ばしたりして形を作ることが簡単にできます。ポリプロピレンもその性質があり様々なものに加工できます。コロナワクチンの注射器のような細いものにも加工が簡単にできます。注射器はヒトの組織が異物反応や拒絶反応を起こさないよう厳しいきびしい品質管理が行われていますが、ポリプロピレンは薬品に強いため、こうした要求をパスすることができます。
参考リンク:ポリプロピレンってどんなプラスチック?やさしく解説!|プラスチックとリサイクルに関する学習支援サイト|プラスチックのはてな(pwmi.jp)
コロナ禍で多くの命を救ったECMO
肺炎患者の治療に使われた人工心肺装置「ECMO(エクモ)」
新型コロナウイルス感染症は2類から5類へと移行し、インフルエンザ並みの感染症の基準となりました。現在はマスク着用も個人の自由となり、行動制限もなく、コロナ禍前の日常が戻っています。
新型コロナウイルスが猛威を振るった期間、テレビのニュースなどでよく耳にした医療器具の1つに「ECMO」があります。新型コロナウイルスに感染症にかかるとして重い肺炎にかかる人が相次ぎました。こうした重症の肺炎患者の治療に使われたのが人工心肺装置「ECMO(エクモ)」です。ECMOは新型コロナウイルスの感染症で弱った患者の心臓の働きと肺の働きの役割を果たします。
人工心肺のフィルターに使われる中空糸膜
人工心肺の重要なパーツとして、血液に酸素を送る役割を果たすのが中空糸膜フィルターです。中空糸は、とても細いストロー状の糸の壁に小さな穴がたくさん空いています。中空糸を束ねてフィルターの仕事をするのが中空糸膜フィルターです。
私達の体には動脈と静脈が張り巡ぐらされています。動脈を流れているのは、肺から送り込まれる酸素や肝臓に送られる栄養素を含んだ血液を体の隅々まで送り届けます。静脈は体中の二酸化炭素を回収して、再び肺などへ送り届ける役割を果たします。
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