公開日:2022.11.08
更新日:2022.12.20
プラスチック、分類チャレンジ!
いろいろな素材のプラスチック製品を分類のプロ・プラスチック分類隊が、さまざまな手法を使って、分類していきます。密度のちがいによる分類実験や燃え方のちがいによる分類実験など中学3年の「プラスチックの性質」の勉強にぴったりの動画です。
プラスチックの分類にチャレンジしてみよう!
プラスチックにはいろいろな種類がある
ここに並んでいるのは、全部、プラスチック製の容器です。
どれも同じように見えるかもしれませんが、実は、プラスチックにはいろいろな種類があります。
今日は、プラスチックの分類に挑戦してみましょう。さて、見分けられるでしょうか?
では、チャレンジしてもらいましょう。種類が同じものどうし、分けてみてください。
「できました!」
3種類に分けましたね。これで合っているでしょうか?
答えは…「×」です!うーん、おしい!
ここには5種類のプラスチックがある!
実は、ここにあるプラスチックは、
・ポリエチレン(PE)
・ポリプロピレン(PP)
・ポリ塩化ビニル(PVC)
・ポリスチレン(PS)
・ポリスチレンテレフタレート(PET)
の、全部で5種類があります。
そして、それぞれの性質を知っていれば、ちゃんと分類することができるんです。
…と、突然言われても、難しいですよね。
ということで、ここは、頼もしい助っ人に登場してもらいましょう。
プラスチック分類隊、登場!
ジャジャ〜ン、「プラスチック分類隊」です!
彼らは、プラスチックの性質を知りつくした、プラスチック分類のプロです!
さて、この5種類のプラスチック製品を、見事に分けることができるのでしょうか…?
プラスチックの性質を知ろう!
プラスチックの分類を始める前に、分類隊から、プラスチックの性質のことを、ちょっと教えてもらいましょう。
「まずは、プラスチックは種類によって、どんな違いがあるのか、見てみよう!」と、プラスチック分類隊。いろいろな方法で、プラスチックは分類できるそうです。
プラスチックの分類(1)折り曲げてみる
分類の最初に、プラスチックを折り曲げてみます。
プラスチックを折り曲げてみると、プラスチックの種類によって、違いがあることがわかります。
・ポリスチレンは折り曲げると、割れやすい性質です。
・ポリプロピレンは軽く丈夫で、折り曲げても割れにくい性質があります。
ポリスチレンとポリプロピレンは、一見、同じに見えても、折り曲げることによって、性質が違うということがわかりました。
プラスチックの分類(2)加熱してみる
次は、プラスチックに熱を加えてみます。
食べ物の保存などに使うこの容器も、プラスチックでできています。
これにミートソースを入れて、電子レンジで加熱してみましょう。
「チン!」レンジで加熱が終わったようです。
レンジから取り出したところ、容器のふたが、熱で変形してしまいました。でも、本体のほうは大丈夫なようです。
実はこのプラスチック容器には、ふたと本体では、違う種類のプラスチックが使われているのです。
本体には、ポリプロピレンが使われています。ポリプロピレンは、比較的熱に強く、摂氏100度でも変形しません。
ふたには、ポリエチレンが使われています。ポリエチレンは、熱には弱いので、レンジで加熱すると変形してしまいました。しかし、やわらかくて厚くできる素材なので、ふたにはぴったりなのです。
「このように、プラスチックは種類によって、性質が違うのです」と、プラスチック分類隊。
「プラスチック製品は、使う目的によって、素材が使い分けられています。わかったかな?」
いよいよプラスチックを分類!
プラスチックを切って液体に沈める
ではいよいよ、ここにある5種類のプラスチックを分類してみましょう!
「そのためには、まず…、プラスチックを切っちゃいましょう!」と、プラスチック分類隊。
「ええ、切っちゃうの?」
うーん。しかたありません。プラスチックの正確な分類のためには、こういった準備が必要なんです。
それぞれの素材から、プラスチックの破片を切り出して、これで準備完了です。
さあ、あらためて、分類を開始しましょう!
3種類の液体を用意
「プラスチックの分類には、これを使います!」と、プラスチック分類隊が出してきたのは、実験などに使うビーカーです。
このビーカーには、
・水
・飽和食塩水
・50%エタノール水溶液
という3種類の液体が、それぞれ入っています。
ここに、先ほど小さく切った、プラスチックのかけらを入れてみましょう。
透明なカップはぜんぶ浮く!
最初に、透明なカップのかけらを、3つのビーカーに入れてみましょう。
すると、3つのビーカー全部で、きました。
白いカップはエタノールで沈む!
次の、白いカップのかけらは、どうでしょうか?3つのビーカーに入れてみましょう。
すると、水と飽和食塩水には浮きましたが、50%エタノール水溶液のみ沈みました。
このことから、この2つのプラスチックは、別の種類のプラスチックのようです。
プラスチックは種類によって密度が違う
「プラスチックは、種類によって密度が違います。だから、密度の体に入れて、浮くか沈むかで、プラスチックの種類を区別することができるのです」と、プラスチック分類隊は説明します。
この表のように、浮き沈みによって、プラスチックの種類を、あるていど判断することができます。
この表によれば、全部の液体で浮いたものは「ポリプロピレン」。50%エタノール水溶液だけ沈んだものは「ポリエチレン」でした。
では、ほかのプラスチックも、同じ方法で、種類を調べてみましょう!
四角い透明パック、これはどうでしょうか?飽和食塩水にだけ浮いたので、ポリスチレンですね。
困った!ぜんぶ沈むプラスチックが分けられない!
同じ方法で、残りのプラスチックも種類を確かめましょう。
この卵のパックは?
全部沈みました。
そして、プラスチックのシートは?
こちらも、全部沈みました。
浮き沈みを使って区別していった結果「ポリエチレン」「ポリプロピレン」「ポリスチレン」は分類できました。
しかし、すべての液体に沈む「ポリ塩化ビニル」と「ポリエチレンテレフタレート」の区別がまだできていません。
さあ、困りました。さて、これはどうやって分類したらいいでしょうか?
ぜんぶ沈むプラスチックを分ける方法は?
「大丈夫!これで区別しましょう」と、プラスチック分類隊が手にしたのは、火をつけるライターです。
なんと、プラスチックを燃
やして、プラスチックの種類を確かめるようです(火の取り扱いには注意しましょう)。
では、液体にすべて沈んでしまった卵パックを、燃やしてみましょう。
火をつけたところ、よく燃えています。
同じく、液体にすべて沈んでしまったプラスチックのシートはどうでしょうか。
こちらも燃えているようですが、火から離
すと、火が消えてしまいました。
このことから、火によく燃えるものが「ポリエチレンテレフタレート」、火が消えてしまうものは「ポリ塩化ビニル」なのだとわかりました。
プラスチックは、燃え方や、燃えるときのにおいを観察
するだけでも、区別ができるんですね。
「液体に沈めてみる」
「燃やしてみる」
この方法で、プラスチックを5種類にわけることができました。
分類隊、すごい!
プラスチックのリサイクルは、同じ種類で集めることが大切
プラスチックは、同じ種類のものを集めると、リサイクルがしやすくなります。
つまり、種類ごとに分けるということは、資源
のリサイクルにとって、大切なことなのです。
たとえばペットボトルは、「キャップ」、「ラベル」、「本体」で、種類がそれぞれ異
なるプラスチックが使われています。
だから、キャップとラベルを外して回収
することが、すすめられているのです。
リサイクル工場でも同じような方法で分別されている
ペットボトルのリサイクル工場では、先ほど実験で行ったような、浮き沈みでプラスチックの種類を分別する方法も使われています。
キャップ、ラベル、ボトルを細かくして、いっしょに飽和食塩水に入れると、ボトル部分が沈んで、ポリエチレンのキャップとポリスチレンのラベルが浮き、ポリエチレンテレフタレートの素材だけを取り出すことができます。
「どう?プラスチックを分類することの大切さがわかったかな」と、プラスチック分別隊。
「うん、わかった。でも、プラスチックを分けるとき、毎回こんなことをするのは大変かも…」。
と、ちょっと困りました。
プラスチックの分別に困ったら「分類マーク」を見よう
プラスチックをリサイクルするとき、分ける方法がわからない。
実験のように、いつも液体に沈めたり、燃やしたりはできないですよね。そんなときは、どうすればいいのでしょうか。
「そんなときは、プラスチック製品についている「分類マーク」や、製品の情報を見るといいですよ」と、プラスチック分類隊はアドバイスしてくれます。
そう!たしかに、製品の包装
や情報
の部分に、このような表記がありますね。これが、プラスチックの種類だったのですね。
分類隊、もっと早く教えてよ〜。プラスチックは、この表記を参考にして、分類していくといいですね。
「プラスチックには、用途によっていろいろな種類があります。そして、リサイクルのためには、種類ごとに分類することが大切です」と、プラスチック分類隊はいいます。
プラスチック分類隊、今日はありがとうございました。これからもがんばってください!
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