結局、どのリサイクル手法がいちばん優れているの?
分析結果は…
(社)プラスチック処理促進協会では、容リ法のプラスチック製容器包装(その他プラ)について、リサイクルする場合としない場合の機能を合わせて評価する方法を用いてリサイクル手法間を比較しました。(評価方法について詳しくは前項「リサイクル手法を比較する方法」へ)
ここでは代表的なものとして、次の3つの手法を取り上げます。
評価の“ものさし”は次のようになっています。
- 資源・エネルギー消費削減効果:処理量1kgあたりのエネルギー(MJ:メガジュール)
- 環境負荷削減効果:処理量1kgあたりのCO2削減効果(kg)
それぞれの手法の削減効果を示したのが次の2つのグラフです。数値が大きいほど削減効果が高いということです。
マテリアルリサイクルがいちばん、
とはいえないんだ。
このように自治体による収集を含めない範囲では、どのリサイクル手法においても、資源・エネルギー消費、CO2ともにリサイクルしない場合(発電効率10%の廃棄物発電)よりも削減効果が大きくなることが確認されています。
中でも効果が高いのはケミカルリサイクル(高炉原料化)で、次にサーマルリサイクル(RPF化)、マテリアルリサイクルの順となりました。
ただし、LCA評価では、その前提条件やシナリオなどによって結果が異なることもあります。
例えば、廃PETボトルや一部の産業系廃プラスチックのように、素性のはっきりした汚れのないものであれば、マテリアルリサイクルによる再生樹脂の品質は新規樹脂に近くなり(新規樹脂代替率100%)、マテリアルリサイクルが上位になることも考えられます。
また、この分析ではRPF化によって生じるCO2を環境負荷として扱っていますが、ガス化などのケミカルリサイクルではこのCO2が化学製品(ドライアイスなど)の原料として利用されることもあり、その場合の評価はこれと同じ結果にはなりません。
一般に、廃プラスチックの処理は排出される状態(量、質、発生する場所)によって適切に対応されるべきであり、リサイクルの各手法ではそれぞれ異なる価値が生まれます。このことから、現在、リサイクル手法の選択にあたってはLCA的な観点からの科学的な評価が注目されています。